「転職」をテーマにして開始された駅前朝活クラブのグループトークは、最後のN子さんの順番が回ってきました。

キレイ目の白いシャツと紺のスラックスを履いたN子さんは、黒いパンプスの足元をきちんと揃え、両膝の上には清楚に両手が添えられていました。

まずは、名前を名乗ったN子さんは、長年ホテルマンとしてキャリアを積んできた事を話してくれました。

海外のホテル勤務などの経験もあり、星印が複数着くような有名ホテルからヘッドハンティングを受け、退職を迎えるまで30年間の間に、10回を超える回数の転職を繰り返したそうです。かれこれ25年前に、ご主人とは円満離婚をされたそうで、離婚のきっかけから独りで食べて行けるように、当時の自宅近くのホテルに就職した事がキャリアのはじまりだったそうです。

お子さんも作らなかったとの事で、仕事が全てのような生き方をしてきてしまったので、昨年からの定年後の暮らしが、無機質過ぎて頭がおかしくなりそうだったと言う事です。

どうして良いか分からず、毎日のようにカルチャースクールに通いまくり、手に余る時間を埋めていたとの事ですが、まさに、この駅前朝活クラブへの参加もそのような無機質な日常を埋める為に、昨年から参加を始めたそうです。

朝活クラブのある日は、誰よりも早く駅前の珈琲スタンドに到着し、まずはホット紅茶を頂くのだそうです。

現在は、ホテルのフロントやコンシェルジュの仕事を、アルバイトスタッフとしてこなしているようなのですが、全くと言ってよいほど、そのホテルの雰囲気が自分に馴染まない事が、現在の最大の悩みごとで、辞めるか続けるのか、それとも13回目の転職をするか迷っているとの事でした。

しかも、ホテル側が彼女の職歴を聞きつけて、社長による直談判があり、アルバイトスタッフの教育係としてのポジションを担当して欲しいとの申し出があったそうなのだ。そんな重荷はもう背負い込みたくないからこそ、アルバイト雇用に落ち着いたはずなのに・・・。

仕事が趣味的な生き方をしてしまうと、定年後の生きがい探しが、まさしく「仕事に戻る」事になってしまうので、お若い方は気を付けて下さいねと、優しくアドバイスして下さいました。

どんな年齢でも、どんな職種でも「就職」「転職」に関する悩みは、十人十色であるものなのですね。

グループトークを終える頃には、なんだか今朝、この駅前珈琲スタンドに到着するまでは、転職するか否かのプレッシャーに押し潰されていた自分が、可笑しくもあり、愛おしくもあり、滑稽に思えてきました。

職業人生においての「転職」とは、どんなに迷っていたとしても、「する」、「しない」は、いつの日か自分の意志が、勝手に自然に決めるものなのかもしれないと、自分の未来に希望が持てるまでになっていました。

最終的には、自分が判断して転職をするわけですから、こうした判断を手助けできるような求人サイト制作が出来たらと思います。

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